【株式会社リーディングマーク】「他責にしない。法務が事業を前に進める」プライドと期待を捨てて生まれた仕事の姿勢

【株式会社リーディングマーク】「他責にしない。法務が事業を前に進める」プライドと期待を捨てて生まれた仕事の姿勢

適性検査やウェルビーイングサーベイなどの「ミキワメAI」シリーズを展開する、株式会社リーディングマーク。「全員が事業家」という人材観を掲げる同社で、法務コンプライアンス部を立ち上げ、法務の責任者を務めるのが打田太一氏だ。

司法試験での挫折を機に、「社会人」として吸収に徹すると決めた社会人1年目。この選択が、事業に伴走する今の法務スタイルを形作ったという。同社のカルチャーから、リーガルとしての哲学、キャリア観まで、じっくり伺った。

「全員が事業家」事業と組織をつなぐ人を求めるカルチャー

リーディングマークのカルチャーを尋ねると、打田氏はミッションから話し始めた。

ミッションとして「世界の人々の自己実現を支援をする」ことを掲げていて、そのうえで従業員に求められる姿勢として「全員が事業家」と言っているんです。事業への共感や組織のスキルだけでもなく、ミッション達成に向けて事業と組織を接続する役割を果たせる人が事業家、という考え方です。

自分なりに成し遂げたいことを、自分のキャリアと接続して仕事にできる方がいいですね。バリューも「全部自分ごと」「爆速で」「正しさへのこだわり」など、カルチャーに根付いていると思います。(打田氏)

リーガルの基本姿勢は「他責にしない」こと

そのカルチャーの中で、法務はどうあるべきか。打田氏の答えは明確だった。

法務として一番大事にしているのは「他責にしない」ことです。常に“全社最適”の観点で、法務がどのように事業貢献できるかという意識を持っています。

法務に依頼をすることは、営業担当からすると遠回りに感じることなんですよね。その面倒くささをしっかり受け止めて、リスクヘッジしつつ、できる限り早く通常の状態に戻す。単に依頼が来たから対応するのではなく、会社全体の視点でその依頼を見る、ということが大切だと考えています。(打田氏)

判断のスピードを支えるのは、体系的な理解とそれに基づく知識だと語る。

事業を前に進めるには、リスクを取る勇気も重要です。しっかりとした知識と理解があるからこそ、「ここは大丈夫です」と言うことができます。

知見に基づいて意思決定できることが、判断のスピードに繋がっているんだと思います。知らなかったら不安になるし、現場も不安になっちゃうので。(打田氏)

法務は専門家集団なので、学説を勉強すると知的好奇心をくすぐられる楽しさもあるんです。ただ、考えるべきはビジネスにとっての最適解なので、そこでオタクになりすぎるのはちょっと違う。

知的好奇心に駆られて違う方向に行ってしまうのではなく、会社に求められていることをやるのが重要だと思っています。(打田氏)

印象に残っている仕事として挙げたのが、過去の個人情報関連事案への対応だった。

有事のとき、本来リーガルが周りを巻き込んで対応すべきです。「誰が統括するのか」という場面で、率先して手を挙げて、専門的な知識をもとに方向性を示しました。

管理部門の優秀な方に共通しているのは、議論の土台をちゃんと作れることなんです。(打田氏)

自分でドキュメントを書いて、道しるべを定めて、議論を整理して進めていく。自分たちの利益だけでなく、相手方の対立利益も見て、両者にとって適切な判断をどう導き出すか考える。

有事だけでなく、普段の業務でもこのリーガルマインドを使いながら仕事をすることが、他の人との差別化になると思います。

法律って、条文の抽象的な文言を解釈するときに「なぜこの法律ができたのか」「何のために存在するのか」という趣旨を必ず考えるんです。

「何で、何で」とめちゃくちゃ考える。この癖は法律に限らず効いてきます。仕事でも「なぜこの出来事はこうなったのか」と、俯瞰して物事を見られるようになるので。(打田氏)

挫折してプライドを捨てたときに見えた、キャリアの軸

淀みなく語る打田氏だが、キャリアの出発点には大きな挫折がある。

カッコいい話じゃないんですけど、司法試験に何度も落ちているんです。一度、「描いていたキャリアが閉ざされた」という現実に直面しました。

それで社会人になるとき、人生の先輩方から教えていただくことについては、プライドを全て捨てて素直にやろうと決めました。スポンジのように吸収しよう、と。それが今の自分のアイデンティティの一つになっています。(打田氏)

ロースクールの受験や司法試験で、繰り返し挫折を経験。思い詰めた打田氏を変えたのは、関西人の親友の言葉だった。現在はスポーツ関連の法務から事業にも携わり、多角的に活躍している人物だ。

ずっとその人のポジティブさは天性のものだと思って尋ねたら、「俺は実はネガティブや。ポジティブになれるように自分で受け止めて、訓練して前向きにしてるんや」と言われたんです。

前向きにできると思ってやれば、根拠がなくてもできるようになる。だんだん根拠を持った自信がついてくる、と。ライバルのはずの人間がそう言ってくれたんですよね。

素直になることと、ポジティブに捉えること。この2つは今も大事にしています。(打田氏)

法務という仕事とポジティブさ。一見結びつかないが、打田氏の中では直結している。

リーガルは、基本ネガティブなものを扱う仕事です。インシデントやトラブルが起きれば、矢面に立って一手に引き受けなければいけない。

だからこそ、そこをちゃんと受け止めたうえで法的観点や代替策を提示できるとポジティブに切り替えられると、事業部とも前向きに議論しやすくなるんです。(打田氏)

そこから社会人1年目を支えてくれた人の話になると、打田氏の口調が少し柔らかくなった。

1社目のときに、本当に素敵な上司がいたんです。その会社のマザーテレサみたいな方で。

試験に落ちて尖っていた私にずっと向き合ってくれて、「その知識はちゃんと会社に貢献できているよ」と言ってくれたり、「コーポレートオフィサーを目指せる力があると思っている」とキャリアプランを示してくれたりしました。そのチームも常に前向きな方たちが多かったですね。

自分では失敗と思っていた地点から、その先へ導いてくれる人がいた。だから自分も、そういう存在になりたいと思っています。(打田氏)

「相手に期待しないから、感謝が生まれる」独自の仕事哲学

打田氏の仕事哲学で面白いのが、「期待しないこと」だ。

期待しすぎると、そこで歪みが生まれるんです。

例えばの例ですが、結婚がうまくいくコツは相手に期待しないことだと聞いて、腑に落ちまして。子どもがいる家庭の場合、帰宅時に家が散らかっていたとき、「何でこんなに汚いんだ」と思うのか、「今日もいっぱい遊んだんだね」と思うのか。後者は片付けることに期待していないから、ストレスも溜まらない。その背景を思いやることもできるし、片付けてくれてたら、むしろ感謝が生まれる。

仕事も全く一緒です。期待しないことで、できなかった背景を探る方に頭が向く。俯瞰して余裕を作れるんです。(打田氏)

この境地に至るまでには、痛い経験もあった。

社会人2~3年目の頃に、成果は出ていたのに評価が厳しかったことがあります。そのとき、「お前は能力じゃなくて、別のところで評価されているよ」と言われました。態度や発言が、組織の中でどういう影響を及ぼすか、という話です。

この経験があなたを成長させると言われて、当時は悔しかったですが、後になって、あれを言ってくれたことがいかにありがたかったか分かりました。普通は影で言われて終わりですから、感謝しています。(打田氏)

リーディングマークの法務は、守りだけで終わらせない

リーディングマークの法務は今、守りの機能に留まらない動き方を模索している。

広告審査のようなネガティブチェックにも、リスクをコントロールしながら新しい手法に踏み込む攻めの要素がある、というのが打田氏の見方だ。

契約書チェックへのAI活用を進めつつ、大手企業との取引では、現場の要望を理解しながら代替案を示して調整する。コンサルティングに近い動き方も増えてきた。

AIについては「正しく恐れろ」だと思っています。特性を理解して、パートナーとして使いこなす。トライアンドエラーが大切ですね。(打田氏)

マネジメントでも、感情に流されない軸を持つ。

「怒る」と「叱る」は違うんです。「怒るは感情」、「叱るは理性」とどなたかがおっしゃっていました。怒ることはその感情の説明ができないけれど、叱ることは説明できる。

リスクの指摘も同じで、漠然と慎重になる必要はありません。具体的に何が問題で、緊急性と重要度がどれくらいかを説明できることが大事だと思います。(打田氏)

裁量が欲しいなら、どんな仕事にも手を抜かない

キャリア観についても聞いた。打田氏は1,000人規模の大企業とベンチャーの両方を経験している。

正直、大企業は仕組みが出来上がっていて、僕が挑戦したい仕事はできませんでした。

ベンチャーは、コミュニケーションを取りながら自分たちで作り上げていく。他の会社では任せてもらえないことも、なんでやらないの?ぐらいの感じで任せてもらえます。良くも悪くも、濃度が全然違います。

AIで作業が代替されていく時代に、自分の市場価値をどう上げるか。裁量権を持って、人に揉まれながらやれる環境のほうが手っ取り早いと思います。

ただ、裁量は最初から与えられるものではなくて、信頼の積み重ねなんです。何でも「嫌です」と言う人に、次の仕事を渡したくないじゃないですか。一見大したことないなって感じる仕事でもそれが大きな仕事に繋がっていることもあると感じています。(打田氏)

転職者に向けては、入り方の助言もあった。

転職した後の入り方が下手な人、結構いるんです。いきなり前職のやり方で現職の運用を否定してしまうと、ハレーションが起きる。

ビジョンを持つのは良いことですが、まずは温度感を合わせてコミュニケーションを取りながら、作り上げてきた人たちと一緒に課題を抽出していく。仲間として認めてもらえることが先で、丁寧なやり方が大事です。

始めは「勉強させてください」と素直に入る。郷に入っては郷に従え、ですね。(打田氏)

取材対象者プロフィール
打田様
打田 太一
株式会社リーディングマーク 法務責任者
法科大学院を卒業後、上場企業のひとり法務としてキャリアをスタート。大企業とベンチャー企業双方での法務経験を経て、現在は株式会社リーディングマークで法務の責任者を務める。

 

企業情報
株式会社リーディングマーク
東京都港区虎ノ門3丁目8番21号 虎ノ門33森ビル10階
03-6712-7431
https://www.leadingmark.jp/

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