法務の自己PRはどうつくる?採用担当者の心を掴むためのポイント解説

法務の自己PRはどうつくる?採用担当者の心を掴むためのポイント解説

法務の転職活動をする際、多くの人が直面する壁が自己PRの作り方でしょう。

本記事では、この人と一緒に働きたいと思わせるための具体的な法務の自己PRの作り方と、自己分析の仕方から例文作成、NGポイントまで徹底的に解説していきます。

法務の自己PR作成はまずは自己分析から

説得力のある自己PRは、表面的なスキルや経験の羅列から生まれるものではありません。

あなたの持つ経験や潜在的な能力を「法務職」というレンズを通して見直し、再定義することが不可欠です。

過去の法務経験を棚卸しする

まずは、あなたのこれまでのキャリアを細かく振り返ることから始めましょう。

法務部で担当した業務(契約法務、コンプライアンス、紛争対応など)を具体的にリストアップしてください。

  • 担当した業務内容: どんな契約書を扱いましたか?どんな業界のコンプライアンスに携わりましたか?
  • 解決した課題やトラブル: どんな法的問題に直面し、どう解決しましたか?
  • チームや他部署とどのように連携したか: 事業部や経営陣に法律の専門知識を分かりやすく説明した経験はありますか?
  • 失敗から何を学んだか: 失敗をどう次に活かしましたか?

法務業務の経験を具体的なスキルに変換する

棚卸しした経験を、法務職が求める具体的なスキルに変換してみましょう。

たとえば、契約書のレビューを毎日やっていたという経験は、以下のように細分化できます。

  • 「正確さ」: 契約書に記載された条項の微細な誤りや抜け漏れを発見し、リスクをゼロにした経験。
  • 「スピード」: 大量の契約書を迅速かつ的確に審査し、事業のタイムラインを維持した経験。
  • 「リスク予見力」: 契約締結後を想定し、将来起こりうる法的紛争のリスクを事前に特定・解消した経験。

このように、単なる業務内容の記述に留まらず、その業務を通じて培われたあなたの能力や思考プロセスを言語化することが重要です。

求められる法務の人物像と照らし合わせる

自己分析で見つかった強みは、応募する企業が求める人物像と合致しているでしょうか。

企業のウェブサイトや採用情報、IR資料などを徹底的に読み込み、その企業が現在抱えている法務の課題や、今後注力していくであろう事業を把握しましょう。

たとえば、海外展開を積極的に進めている企業であれば、「国際法務に関する知識」や「異文化での交渉経験」が求められるかもしれません。

新規事業創出に力を入れている企業であれば、「既存の法に捉われない柔軟な発想力」や「新しい法的論点を自ら発見し、解決策を導き出す力」が評価されるでしょう。

あなたの強みが、その企業の法務課題の解決にどう貢献できるかを明確にすることで、自己PRに説得力を持たせることができます。

法務の採用担当者が評価する5つのポイント

法務の採用担当者は、あなたの自己PRから以下の5つを読み取ろうとしています。

専門知識と実務経験

単に「〇〇法の知識があります」と述べるだけでは不十分です。

重要なのは、その知識を実務でどのように活かしたかを伝えることにあります。

専門知識

扱ってきた法律分野(会社法、独占禁止法、個人情報保護法など)を具体的に列挙し、その知識がどう活かされたかを説明します。

実務経験

契約書のレビュー、訴訟対応、社内規定の策定、リーガルチェックなど、具体的な業務内容とその成果を明確に述べます。

特に、「なぜその業務が必要だったのか」「その業務によってどんな価値が生まれたか」という背景を付加することで、あなたの貢献度がより伝わるでしょう。

課題解決能力とロジカルシンキング

法務は、常に課題と向き合っています。

採用担当者は、あなたが直面した法的課題に対し、「どのように考え、どのようなプロセスで解決したか」という思考回路を知りたいと思っています。

  • 問題提起:「〇〇という法的リスクが発生しました」
  • 分析: 「その原因を分析したところ、△△という法的論点が潜在していることが判明しました」
  • 解決策の提示: 「そこで、□□という解決策を複数提示し、リスクを低減しました」

このように、問題発見→原因分析→解決策立案というロジカルな思考プロセスを示すことで、あなたの課題解決能力をアピールできます。

コミュニケーション能力と調整力

法務職は、社内のあらゆる部署や、時には外部の専門家と連携して業務を進めます。

法律の専門家ではない相手に、難しい法的リスクや解決策を分かりやすく説明し理解を得る能力は極めて重要です。

  • 他部署との連携: 「事業部の〇〇という要望に対し、法的リスクを分かりやすく説明し、双方納得のいく着地点を見つけました」
  • 経営層への提言: 「経営層に対し、法改正がもたらす影響を簡潔にまとめ、対策を提言しました」

「どのように意見を調整し、円滑に業務を進めたか」という具体的なエピソードは、あなたのコミュニケーション能力を証明する強力な根拠となります。

ビジネスセンスと貢献意欲

法務の役割は、単に法律を守ることだけではありません。

法律をビジネス成長のツールとして活用し、能動的に貢献する姿勢が求められています。

法律を盾にするのではなく、事業を成長させるための武器にするという視点を持ちましょう。

たとえば、「新規事業の立ち上げに際し、法的リスクを洗い出すだけでなく、競合他社が使っていない特許を調査し、新たなビジネスチャンスを提案した」といったエピソードは、ビジネス貢献意欲を強くアピールできます。

継続的な学習意欲と変化への対応力

日々変化する法制度や社会情勢に対応するため、法務職には継続的な学習と自己研鑽が不可欠です。

「毎月、最新の判例をチェックしています」「〇〇に関するセミナーに定期的に参加しています」など、具体的な行動を示すとともに、未経験分野への挑戦意欲も示すとよいでしょう。

こうした姿勢は、変化の激しい現代ビジネスにおいて、企業が求める人材であることを示します。

【例文付き】法務の自己PRの具体的な構成と書き方

自己PRの構成は、採用担当者が短時間であなたの強みを理解できるように、シンプルかつ論理的な構造にすることが重要です。

以下のテンプレートを参考に、あなたの経験を当てはめてみましょう。

【構成のテンプレート】

◆結論(私の強みは〇〇です):自己PRの冒頭で、最も伝えたい強みを簡潔に述べます。

◆根拠(具体的なエピソード):その強みを裏付ける具体的な業務経験や成果を、STAR(Situation, Task, Action, Result)のフレームワークに沿って詳しく説明します。
・Situation(状況): どのような状況・環境でしたか?
・Task(課題): どんな課題や目標がありましたか?
・Action(行動): その課題に対し、あなたはどんな行動を取りましたか?
・Result(結果): その行動によって、どんな結果が得られましたか?
◆学び・貢献(この経験から何を学んだか、貴社でどう活かしたいか):単なる経験談で終わらせず、その経験がどう成長に繋がり、入社後にどう貢献できるかを明確に伝えます。

【例文:経験年数別】

未経験者向け(異業種から法務職への転職)

◆結論: 私の強みは、事業全体を俯瞰し、現場のニーズに即した解決策を提案できる課題解決力です。

◆根拠: 前職の営業職では、顧客との複雑な契約交渉において、法務部門に相談する機会が多数ありました。
その際、単に「法的にNG」という回答ではなく、事業の目的を理解した上で「この条項をこのように変更すれば、法的リスクを抑えつつ顧客と合意できます」といった代替案の重要性を痛感しました。
私はこの経験から、現場のビジネスを深く理解し、法律知識を「リスク回避」だけでなく「ビジネス推進」のツールとして活用する視点を培いました。

◆学び・貢献: この経験で得た「事業全体を俯瞰する視点」と「現場との円滑なコミュニケーション能力」は、貴社の法務部門が事業部の良きパートナーとして機能するために不可欠なスキルだと確信しております。
今後は、これまでの経験で培った課題解決能力に加えて、貴社で法務の専門知識を習得し、事業成長に貢献したいと考えております。

若手(〜3年)

◆結論: 私の強みは、法的リスクを多角的に分析し、ステークホルダーを巻き込みながら課題を解決する実行力です。

◆根拠: 現職では、主に契約書レビュー業務を担当しており、年間約500件の契約書を審査してきました。
ある時、新規事業の海外パートナーとの契約において、日本の法務部が気づきにくい現地の商慣習に起因する潜在的なリスクがあることを発見しました。
このリスクを解消するため、事業部の担当者と現地法務顧問、社内幹部と連携し、法律用語を平易な言葉で説明しながら、粘り強くリスクの重要性を伝え、交渉方針を調整しました。
その結果、リスク条項を修正・追加することで、事業の安全性とスピードを両立させることができました。

◆学び・貢献: この経験を通じて、法務職に求められるのは単なる知識だけでなく、多様な視点から問題を捉え、関係者を動かすコミュニケーション能力だと学びました。
貴社が今後グローバル展開を加速される中、私の多角的な視点と調整力は、法務リスク管理に貢献できると確信しております。

ベテラン(5年以上)

◆結論: 私の強みは、多様な法務領域を横断する専門性と、組織全体のコンプライアンス意識を向上させるマネジメント能力です。
◆根拠: これまで5年間、契約法務、紛争対応、M&A、さらには知的財産管理まで幅広い法務業務を経験してまいりました。
特に、直近の3年間は法務部のチームリーダーとして、部下の育成や業務フローの改善にも従事しました。
ある時、全社的にコンプライアンス違反が多発する事態が発生しました。私はこの状況を根本から解決するため、法律知識を身につけるだけでなく、従業員一人ひとりが「なぜコンプライアンスが必要か」を理解し、自律的に行動できる組織風土を醸成する必要があると考えました。
そこで、部門横断的なコンプライアンス推進プロジェクトを立ち上げ、従業員向けのeラーニングプログラムを開発・導入しました。
結果として、社内のコンプライアンス意識が向上し、違反件数を前年比で20%削減することに成功しました。
◆学び・貢献: この経験から、法務は「守り」の役割だけでなく、組織全体のパフォーマンス向上に能動的に貢献できる「攻め」の機能であると再認識しました。
貴社が推進されている〇〇事業において、私の多岐にわたる専門知識とチームマネジメント経験は、法務機能の強化と事業成長に不可欠な貢献ができるものと確信しております。

【例文:経験業務別】

契約書作成・レビュー業務

◆ポイント: 正確性・スピードに加え、リスクの予見力とビジネスへの理解度を強調します。

◆例文:
年間数百件の契約書レビューを通じて、私は単に形式的なチェックを行うだけでなく、将来のビジネスにおける潜在的な法的リスクを予見する能力を磨いてきました。
特に、ある事業部の新規プロジェクトでは、契約書に記載のない条項が将来のトラブルに繋がる可能性を指摘。
事業部と綿密に連携し、プロジェクトの目的を損なうことなく、リスクを最小限に抑える条項の追加を提案しました。
この経験から、法務は事業のブレーキではなく、アクセルを踏むための安全装置であるという認識を深めました。
貴社でも、この経験を活かし、事業成長に貢献したいと考えております。

コンプライアンス業務

◆ポイント: 「倫理観」「組織を動かすコミュニケーション力」「リスクマネジメント能力」をアピールします。

◆例文:

私は、社内のコンプライアンス体制構築と浸透に尽力してきました。
特に、全従業員が当事者意識を持つための取り組みとして、一方的な通達ではなく、従業員が抱える『法的疑問』を解決する相談窓口を設立しました。
これにより、些細な疑問から潜在的なリスクを早期に発見・解消することが可能になりました。
また、部門横断の勉強会を定期的に開催し、難しい法律用語を平易な言葉で解説することで、コンプライアンスの重要性を従業員一人ひとりに浸透させました。
この経験を活かし、貴社の健全な事業運営に貢献したいです。

訴訟・紛争対応業務

◆ポイント:「冷静な状況分析」「法的論点の発見力」「解決への着地点を見出す交渉力」を強調します。

◆例文:

私は、複数の訴訟案件を当事者として対応し、冷静かつ論理的に紛争を解決する能力を培ってまいりました。
ある大規模な紛争事案では、複雑な事実関係と多数の法的論点が絡み合う状況でした。
私はまず、関係者へのヒアリングを徹底し、事実関係を正確に整理することで、紛争の根本原因を特定しました。
その上で、社内外の専門家と連携し、訴訟リスクと和解のメリット・デメリットを経営層に提示。
最終的に、会社にとって最もメリットのある形で和解交渉を成立させました。
この経験から、いかに複雑な問題でも、論理的に分解し、最適な解決策を導き出すことの重要性を学びました。

知的財産管理業務

◆ポイント:「知的財産に関する専門知識」「ビジネスへの応用力」「将来を見据えた戦略的思考」をアピールします。

◆例文:
私は、新規事業における知的財産管理を専門に担当してまいりました。
事業立ち上げ初期段階から参画し、事業戦略と知的財産戦略を一体化させることに注力しました。
具体的には、競合他社の特許動向を分析し、自社の技術が差別化できるポイントを特定。
さらに、模倣リスクを回避するための特許出願戦略を立案し、技術部門と密に連携しながら実行しました。
この経験から、知的財産は単なる『権利保護』のツールではなく、企業の競争優位性を確立するための重要な『戦略的資産』であるという認識を強く持ちました。
この視点を活かし、貴社の技術革新と事業成長に貢献したいと考えております。

自己PR作成で避けるべきNGポイント

どれだけ素晴らしい経験を持っていても、アピールの仕方を間違えると、その魅力は半減してしまいます。

「〜できます」の羅列で終わる

「契約書レビューができます」「コンプライアンス研修ができます」といった単なるスキルの羅列は、あなたの貢献度や思考プロセスを伝えることができません。

「何ができるか」よりも「なぜそれができるようになったか」「どう活かしてきたか」を語りましょう。

抽象的な表現が多い

「法務知識を活かして、会社に貢献したいです」といった抽象的な表現は、具体性に欠け、熱意が伝わりません。

「〇〇法に基づく契約書を作成し、××のリスクを低減しました」のように、固有名詞や具体的な数字を交えて表現することで、説得力が増します。

「何でもやります」アピール

熱意を示すつもりで「何でもやります」とアピールする人がいますが、これは逆効果になることがあります。

あなたの強みや専門性が不明確になり、「志望度が低い」「軸がブレている」と見なされるかもしれません。

自分の専門性と、それがどう企業に貢献できるかを明確に伝えましょう。

まとめ

自己PRは、単にあなたのスキルや経験を伝える場ではありません。

それは、あなたがこれまでのキャリアで何を学び、将来どうなりたいかという法務キャリアを表明する場でもあります。

この記事で解説した自己分析のステップ、採用担当者が評価するポイント、そして具体的な例文を参考に、あなただけのオリジナルな自己PRを作成してください。

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