会計士としてのスキルを評価され、希望年収より300万円UPのオファーを獲得
監査法人から事業会社経理、更なるキャリアアップを希望されて転職
- 年 齢
- 30代後半 / 男性
- 年 収
- 800万円 → 1100万円
企業内弁護士としてのキャリアに興味があっても、年収が下がるかもしれないことに不安を感じている弁護士の方は少なくないはずです。
弁護士の方が法律事務所から企業へ転職した場合、年収がダウンするケースが多いといわれますが、実際のところはどうなのでしょうか?また、年収を下げずに法律事務所から企業への転職を実現するには、どんなポイントがあるのでしょうか?
本記事では、企業内弁護士の年収を年齢や業種、ポジションなどさまざまな角度から紹介します。年収を上げるためのコツや転職で年収を下げないために押さえたいポイントも解説します。
目次
まずは、企業内弁護士の平均年収について、法律事務所で働くケースとの違いも含めて解説します。
日本組織内弁護士協会が実施したアンケート調査によると、企業内弁護士の年収(人数・割合)は以下のとおりです。
参考:企業内弁護士に関するアンケート集計結果(2024年3月実施)|日本組織内弁護士協会
もっとも多いのは、「1000万円~1250万円未満」の人で全体の23.5%、次に多いのが「750万円~1000万円未満」で19.9%、次が「1250万円~1500万円未満」の14.4%です。
したがって、平均的には750万円~1500万円の年収が目安となるでしょう。
2023年版の弁護士白書によると、弁護士の収入は中央値が1,500万円、平均値(5%調整平均)は2,082.6万円でした。所得の中央値は800万円、平均値は1,022.3万円です。
収入ベースで見ると、法律事務所で働く弁護士は企業内弁護士の年収よりもやや高い水準となっています。
参考:弁護士白書 2023年版|弁護士実勢調査に基づく近年の弁護士の実情
ただし、法律事務所で働く弁護士の場合は事務所規模によっても異なります。五大法律事務所のような規模が大きい事務所で働く弁護士は、入所1年目から1,000万円以上の年収となり、5年目以降には1,500万円を超えるといわれています。
企業内弁護士のボーナスは、働く企業の規則によって変わります。
一般的に、法律事務所の弁護士はボーナスがないケースが多いですが、企業の場合は一般の従業員と同じようにボーナスが支給されるケースが多数です。金額は自社の給与テーブルと支給率に応じて変わります。
福利厚生についても企業ごとに違いがありますが、企業内弁護士がいるのは大企業・上場企業が多いため充実した福利厚生を受けられるでしょう。法律事務所の福利厚生は最低限にとどまることが多いですが、企業では法定福利厚生に加えて企業独自の休暇や手当などが用意されているケースも少なくありません。
企業内弁護士の年収は、「経験年数・年齢」「業種」「役職・ポジション」「地域」といった要素に影響を受けます。
日本組織内弁護士協会のアンケート調査によると、弁護士の経験年数別で見た場合にもっとも多い年収ゾーンは以下のとおりです。
年齢別に見た場合に、もっとも多い年収ゾーンは次のとおりです。
参考:日本組織内弁護士協会|企業内弁護士に関するアンケート集計結果(2022年3月実施)別紙①
上記のとおり、経験年数が長く年齢が上がるほど年収も高くなっていきます。経験や年齢を重ねるほどスキルや知識が深まり、企業内での評価も高まることが理由のひとつです。
業種による違いもあります。上記調査において、業種別にもっとも割合が多い年収ゾーンを抽出すると、金融がもっとも高いことがわかります。
参考:日本組織内弁護士協会|企業内弁護士に関するアンケート集計結果(2022年3月実施)別紙①
金融業界では法規制が厳しく、複雑な法務問題に対応する必要があるため、企業内弁護士の需要の年収も高めに設定されていることが多いです。
役職・ポジション別にもっとも割合が多い年収ゾーンを抽出すると、以下のとおりです。
参考:日本組織内弁護士協会|企業内弁護士に関するアンケート集計結果(2022年3月実施)別紙①
企業内弁護士の中でも、一般従業員として働くのか、管理職や役員として働くのかでは年収に大きな違いがあることがわかります。
地域も企業内弁護士の年収に影響を与えます。
とくに東京は日本の経済の中心地であり、大企業や多国籍企業が集中しているため企業内弁護士の需要が高く、年収も高めです。また、大阪や名古屋、福岡などの大都市圏も経済活動が活発な地域であり、企業内弁護士の需要も高いため、年収が高い傾向にあります。
企業内弁護士として働く方が年収を上げるためには、以下の点がポイントになります。
自身の得意分野や企業からのニーズが高い分野の専門性を強化することで、市場価値が高まり、年収の向上につながります。
たとえば、メーカーや製造業、IT業界などでは知的財産が企業の成長に重要な役割を担います。
そのため、知的財産権に関する専門知識をもつことで、企業からの需要が高まり、年収アップが見込めます。また、企業の成長戦略の一環としてM&Aをおこなう企業においては、M&Aに関する法律知識を強化することで企業内での評価が高まり、高収入を得るチャンスが増えます。
自社のビジネスに関する理解を深めることも、企業内弁護士としての価値を高める重要な要素です。単に法的な面からできないことを伝えるだけでなく、ビジネスの視点から法務サポートを提供することで、企業にとって欠かせない存在となります。
そのためには、企業の経営戦略を理解し、経営層との信頼関係を築くことが重要です。自社のビジョンや戦略を理解し、それにもとづいた法的助言を提供することで経営層からの信頼を得やすくなります。結果的に昇進や昇給の機会が増え、年収アップにつながります。
ダブルライセンスの取得も、年収を上げるためのひとつの方法です。法律以外の分野での専門知識をもつことで、企業内での役割が広がり評価が高まります。
たとえば、公認会計士資格が挙げられます。法律と会計の両方に精通することで、企業の財務や税務に関する法務対応が可能となり、とくに大企業や国際的な企業での需要が高まります。
また、弁護士であれば弁理士や税理士、社労士など試験なしで登録できる士業資格もあります。自身の得意分野や専門分野にあわせて登録し、かつ知識を深化させることで市場価値を高められます。
転職は、年収を大幅に向上させるための効果的な手段です。現職での年収アップが難しい場合でも、転職するだけで年収が上がることは多々あります。
たとえば、現在の役職に満足していない場合、管理職ポジションとして転職することで、年収アップが期待できます。現在の業界でのキャリアパスが限られている場合には、より高収入が期待できる業界に転職することも検討する価値があります。
企業内弁護士としてのキャリアを考える場合、年収以外にも確認しておきたい項目があります。年収以外の点にも目を向けてみることで、企業内弁護士として働くべきかどうかが見えてくるはずです。
企業内弁護士として働くことで、自社の法務リスクを軽減し、法的な問題を迅速に解決することができます。自社の事業戦略に直接関与し、法的視点からのサポートを提供することで、企業の成長に寄与する喜びを感じることができるでしょう。
法律事務所で働く場合、すでに発生した法的トラブルの解決など事後的な対応にあたることが多く、企業内弁護士と比べて予防法務の観点ではできることが限られています。また、あくまでも外部の立場からの法律サポートになり、自社の成長に直接貢献できるわけではありません。
その点、企業内弁護士なら弁護士としての知見を活かして自社のビジネスに具体的な影響を与えられるため、自己満足感や達成感が得られます。
企業内弁護士は、自社の業界に関連する法律・規制に加えて労働関連や知的財産、コンプライアンスなどさまざまな法務分野に関わることができます。これにより法務スキルを多岐にわたって磨くことができます。
また、多様な法務業務に携わることで、自身のキャリアの幅も広がり、将来的にはほかの分野や業界でのキャリアチャンスも増えるでしょう。
一方、法律事務所で扱う企業法務は、訴訟や契約紛争、破産・再生といった特定の分野の法務業務をおこなうことが多い傾向です。法律事務所での経験は特定の分野における高度な専門知識を身につけるのに適していますが、企業内弁護士ほど多岐にわたる法務分野に関与する機会は限られることがあります。
企業内弁護士として働くことで、ビジネスや経営の知識を深めることができます。経営陣と直接コミュニケーションを取り、戦略的な意思決定に関与することで、法律だけでなくビジネス全般に対する理解が深まります。これにより、法務部門の一員として活躍できるだけでなく、将来的には経営層へのキャリアパスも開かれる可能性があります。
一方、法律事務所で働く弁護士はクライアントの法的な問題解決にあたることが多いため、ビジネスや経営の知識を直接深める機会は限られます。主に法的な助言や訴訟対応をおこなうことが多く、企業の戦略的な意思決定に関与することは少ないです。法律家としての専門性は高められますが、ビジネスや経営に関わりたい方が経験を積むには企業のほうが適しています。
企業内弁護士は、一般的に法務事務所の弁護士と比べて、ワークライフバランスを維持しやすい環境にあります。
とくに大企業では、福利厚生が充実しており、柔軟な勤務時間やリモートワーク制度などが整っている場合が多いです。労務管理体制も整っているため、休暇が取得しやすく過度な長時間労働もありません。これにより、家庭やプライベートの時間を大切にしながらキャリアを築くことが可能です。
企業内弁護士としてのキャリアは、安定した環境で働くことができる点も大きな魅力です。経済的な安定だけでなく、法務部門での長期的なキャリアを築くことができ、組織内でのキャリアパスも明確です。
法律事務所で働く弁護士の場合、案件ごとにクライアントを獲得する必要があり、収入が不安定になることがあります。とくに、個人事務所や小規模な事務所では経済的な波に左右されやすく、案件が途切れるリスクも否定できません。また、昇進に関して不透明な部分があるなど事務所内でのキャリアパスが明確でない場合もあります。
企業内弁護士への転職を検討している弁護士の方にとって、年収を下げたくないというのは当然の望みです。ここでは、企業内弁護士への転職で年収を下げないための具体的な方法をご紹介します。
まずは、自分の市場価値を正確に把握することが重要です。
転職市場では同じ職務経験でも企業や業界によって評価が異なるため、適切な情報収集が不可欠です。
年収を下げずに転職を成功させるためには、希望する業界や企業における企業内弁護士の給与水準を調査しましょう。その際には業界レポートや転職エージェントの情報などを活用することが有効です。年収情報や市場動向を調べることで、自身のスキルセットや経験がどの程度の価値をもつ理解できます。これが企業の選定や年収交渉の際の基盤となります。
転職活動においては、自分の専門知識や実績を具体的にアピールすることが重要です。
たとえば、過去のプロジェクトや案件での成功事例について、成果を数字や具体例を用いて説明しましょう。また、自分の強みとなるスキルや知識をリストアップし、それがどのように企業のニーズに応えられるかを明確に説明することも大切です。
具体的な知識や実績をアピールすることで、自分が企業にいかに貢献できるかを明確に伝え、年収の決定や交渉にあたり有利な立場を築くことができます。
企業を選ぶ際には、長期的なキャリアパスを考慮することも大切です。短期的な年収だけでなく将来的なキャリアアップの機会や昇進の可能性を見据えて選ぶことで、長期的には年収の増加が期待できます。
そのためには、企業の成長性やビジョンを確認し、将来的な安定性や成長の見込みを評価する必要があります。また、キャリアパスや昇進制度について調査し、自分のキャリア目標と一致するかを確認することも大切です。
成長企業や成長著しい業界を選ぶことで、年収を下げずに転職することが可能です。これらの企業や業界では法務の重要性が大きく、優秀な弁護士を確保するために高い年収を提示するケースがあります。将来的な年収の向上という点でも、成長傾向にある企業のほうが年収アップを見込めます。
そのためには、成長が期待される業界や企業をリサーチし、将来的に高い需要が見込まれる分野を特定する必要があります。興味のある企業の財務状況や将来のビジネス展開について調査し、安定した成長が期待できるかを評価することも大切です。
転職では年収交渉をする場合がありますが、転職エージェントを活用することで年収交渉を有利に進めることができます。
とくに弁護士の転職に強いエージェントは、業界の知識や経験が豊富で、適正な年収を引き出すためのノウハウをもっています。エージェントに自分の希望条件や年収を伝え、交渉を任せることで、自己負担を軽減しながら理想の年収を実現できます。
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