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「企業内弁護士ってなに?」「企業内弁護士はどう採用すればよいの?」といった疑問を抱えている方は少なくありません。
企業内弁護士は企特定の企業に所属し、企業の経営の方針に従いながら経営法務を担う弁護士のことです。
求めている人材を幅広く募集できる一般の求人とは違い、企業内弁護士は弁護士を募集・採用しなければなりません。そのため、企業内弁護士の採用方法について悩まれる方は多いです。
本記事では、企業内弁護士の概要や任せられる業務、採用するメリット・デメリット、採用方法について解説いたします。
目次
企業内弁護士とは、特定の企業に所属し、その企業の経営方針に従いながら法務にかかわる業務を担当する弁護士です。
経営法務や労務問題、知的財産など任せられる業務は多岐にわたり、場合によっては企業内ルールの策定など、責任の重い業務を担当することも少なくありません。
所属する企業に関連する法務に携わるため、幅広い業種に対応する顧問弁護士と違い、企業内弁護士は特定の業種に関する法務の知識やスキルを、専門的レベルにまで高められます。
収入面はその企業の勤務規定に準ずるため、顧問弁護士のように自由に設定できません。
しかし、専門的な業務が多いため、一般職よりも給与が高めに設定されていたり、給与とは別に特別手当が支給されたりすることがあります。
なお、企業に属しているといっても企業内弁護士はあくまでも弁護士です。
弁護士という立場で業務に携わるため、所属する企業に有利になるように、法的解釈を曲げたり不正を隠したりすることはできません。
企業内弁護士は増加傾向にあります。
日本組織内弁護士協会(JILA)が公表している「企業内弁護士数の推移(2001年~2023年)」によると、2001年の企業内弁護士数は66人でした。
しかし、年々増加した結果、2014年には1,000人を超え、2023年には3,184人と約20年間で約50倍となっています。
直近10年間をみても毎年200人~300人程度増加しており、企業内弁護士は今後も増加しつづけることが予想されます。
企業内弁護士が増加している背景は、主に次の2つです。
それぞれ詳しく解説します。
コンプライアンス違反は企業の信頼性を損ない、最悪の場合、倒産につながりかねません。このような法的リスクに迅速に対応できるのが企業内弁護士です。
企業内弁護士であれば、法令遵守や内部統制の強化、社内のコンプライアンス教育などを迅速かつ低コストで実施でき、企業の信頼性を高める役割を果たします。
企業のコンプライアンス意識の高まりによって需要が増加したことも、企業内弁護士が増加している要因です。
日本弁護士連合会が公表した「基礎的な統計情報(2023年)の弁護士等の実勢」によると、弁護士人口は1950年時点で5,827人、2001年時点で18,243人と50年でようやく3倍になっている状態でした。
しかし、年々増加傾向にあったものの、司法制度改革をきっかけに弁護士数は爆増し、2018年には40,000人を超えました。
2023年には44,916人となり、司法制度が改革された2001年と比較すると、約20年ですでに2倍となっています。
弁護士の増加にともなって、一般企業に就職する弁護士が増えたこと、コンプライアンス意識の高まりによる需要拡大もあいまって、企業内弁護士は増加し続けています。
企業内弁護士に任させられる業務は次の8つです。
それぞれ詳しく解説します。
企業内弁護士に任せられる代表的な業務が経営法務です。
経営法務とは、企業運営に関する法務全般を指します。企業の設立から上場、日常の運営に至るまで、企業はさまざまな法律を遵守する必要があります。
例えば、取引先との契約書を作成する際には、法的な不備がないかを確認することで、将来的なトラブルを防げます。
また、取引先から訴訟を起こされて大きな損失を被らないように、日常的に法律を遵守する「予防法務」が重要です。
企業内弁護士は、企業のニーズに応じて、簡単な法律相談から税理士や公認会計士との連携、訴訟対応など、幅広くサポートします。
これにより、企業は法的リスクを管理しながら、事業を展開することが可能です。
M&A(企業の合併・買収)に関する法務業務も企業内弁護士の重要な役割です。
M&Aは企業の成長戦略の一環として重要ですが、問題なく成功せるためには、法的な視点からのサポートが不可欠です。そのため、企業内弁護士は、M&Aプロジェクトの初期段階から関与していきます。
M&Aにかかわる業務内容としては、契約書の作成・レビューや取引条件の交渉、法的リスクを評価・管理などが挙げられます。
企業内弁護士は、労働契約の作成や労働紛争の対応、労働法に基づく社内規程の整備など、従業員の労務問題に関する法務業務も担当します。
セクハラやパワハラなどの労務問題は企業の内部統制にも直結するため、適切に対応していかなければなりません。
企業の知的財産権(特許、商標、著作権など)の管理・保護も企業内弁護士の重要な業務です。知的財産は企業の競争力に直結する重要な資産です。
企業内弁護士は知的財産の出願・管理や侵害対応、紛争解決などを担当して、企業の技術やブランドを守り、競争優位性を確保します。
債権回収は企業の財務健全性を保つために重要な業務です。
企業内弁護士は債権回収のための交渉や法的手続きだけでなく、債権管理を強化したり、代理人として法定に立ったりします。
また、企業の財務強化に向けて、債権回収のプロセスを効率化し、未収金のリスクを最小限に抑えるための戦略を立案・実行していくことも企業内弁護士の役割です。
業界ごとの規制に対応するための法務業務も企業内弁護士の重要な役割です。
規制対応の業務内容には、新しい法令や規制の情報収集・対応策の策定、社内規程の整備などが含まれます。規制対応は企業の事業活動を円滑に進めるために不可欠です。
企業内弁護士は、既存法令を理解し、解釈の幅を広げながら、企業が法令を遵守するための体制を整備します。
企業の倒産手続きに関する法務業務も企業内弁護士の役割です。ただし、破産手続きは法令によって期限が決まっている手続きがさまざまあるため、破産手続きに対応する弁護士は企業倒産に関する知識・経験が必要となります。
企業内弁護士に破産手続きの知識・経験がない場合は、外部の弁護士に依頼してサポートしてもらうことをおすすめします。
企業内での紛争解決手段であるADR(裁判外紛争解決手続き)の設置・運用も、企業内弁護士の役割です。
ADRとは、公平中立な第三者が当事者間を取り持ち、裁判外で紛争解決を目指す手続きのことです。トラブルを解決したいけれど、裁判沙汰は避けたいという場合に利用することで、迅速かつ効率的な解決が期待できます。
企業内弁護士は、ADRのプロセスを設計・運用し、企業内の紛争を円滑に解決するためのサポートをします。
企業内弁護士を採用するメリットは次の7つです。
それぞれ詳しく解説します。
企業内弁護士を雇用すれば、外部弁護士に依頼するよりも法務コストを抑えられます。
外部弁護士に依頼する場合、時間単位での料金が発生し、特に複雑な案件では高額な費用がかかることがあります。
一方、企業内弁護士を雇用すれば、固定給で法務業務を処理できるため、コストの予測がしやすくなり、全体的な法務コストを削減することが可能です。
業務効率の向上が期待できるのも、企業内弁護士を採用するメリットです。
企業内弁護士を採用すれば、企業内に法務の専門家が常駐している状態となり、法的な問題が発生した際にすぐに対応できる環境が整っています。
これにより、法務リスクを迅速に管理・対応できるため、法務関連業務を効率化することが可能です。
特に新規事業の立ち上げや契約交渉など、スピードが求められる場面で大きな効果が期待できます。
法務業務を内製化できるのも、企業内弁護士を採用するメリットです。
知財や税制など、法務分野に関連した業務は少なくありません。
法務関連の業務を内製化できれば、外部弁護士に依頼するほどでもない小さな事案も業務の延長として依頼できるため、法的なトラブルを回避することも可能です。
大手企業・上場企業は知名度があるため、信頼を得やすい一方、中小企業・ベンチャー企業などは認知度が低く、大手企業などと比べると信頼を得にくいのが実状です。
しかし、社会的信用度の高い弁護士を企業内弁護士として採用すれば、法務体制が整っている企業であることや、反社会的なつながりがないことをアピールできます。
これにより、企業の信頼度を向上させて、ビジネスチャンスを広げることが可能です。
顧問弁護士のアドバイスの中には、自社にとって不都合な内容のものもあります。
そのため、信頼している顧問弁護士であってもアドバイスをすべて鵜呑みにせず、自社の状況に適したものなのか判断を下さなければなりません。
しかし、専門性の高い事案の場合は理解するのが難しく、自社で判断を下せないリスクがあります。
企業内弁護士がいれば、双方の意図を正確に汲み取って擦り合わせできるため、外部弁護士との連携がスムーズになり、より効果的な法務対応が可能です。
また、内部と外部の法務リソースを組み合わせることで、複雑な法務問題にも的確に対応できるようになります。
企業内弁護士の採用により、コンプライアンス体制の強化が図れます。
法令遵守や内部統制の強化、再発防止策の検討など、さまざまなシーンで弁護士としての知見を活用可能です。
また、コンプライアンス教育や法令遵守の体制整備を担当してもらうことで、より強固なコンプライアンス体制を構築できます。
企業内弁護士は一貫した法務対応を提供できます。外部弁護士を利用する場合、弁護士ごとに対応が異なることがありますが、社内弁護士が担当することで、一貫性のある法務対応が可能になります。
企業内弁護士を採用するデメリットは次の2つです。
企業内弁護士を雇用することで、コストが増加する可能性があります。
法務業務が少ない場合、企業内弁護士のコストパフォーマンスが低下し、弁護士の給与や福利厚生費用が大きな負担となるリスクが高いです。
そのため、法務業務が少ない中小企業やスタートアップ企業は、企業内弁護士を採用するよりも必要に応じて外部弁護士を利用した方が、コスト効率がよいです。
弁護士は弁護士法や会則など、さまざまな職務規律および義務があり、企業内弁護士であっても、それらを遵守しなければなりません。
そのため、法的リスクを重視するあまり事業の進行を遅らせるリスクがあります。
また、新規事業の立ち上げやイノベーションを推進する際は、通常業務よりも法的な制約が生じる可能性が高いです。
企業内弁護士の対応が慎重すぎる場合、事業の柔軟性や迅速な意思決定が妨げられてしまい、競合他社に先を越されるリスクもあります。
企業内弁護士の代表的な採用方法は次の3つです。
それぞれ詳しく解説します。
自社のホームページで採用ページを作成したり、自社の採用サイトを制作したりして企業内弁護士を募集する方法です。
企業のビジョンやミッション、法務部門の業務内容、求める人材像などを詳細に記載することで、応募者に対して具体的な情報を提供します。
自社の好きなフォーマットでページを作成するため、自社の魅力を明確に伝えられるのが、メリットです。
また、採用ページを通じて直接応募を受け付けられるため、採用コストを抑えられる他、採用プロセスも効率化できます。
弁護士専門の求人サイトに求人情報を掲載する方法です。
弁護士専門の求人サイトは、企業内弁護士に関心のある弁護士が多く利用しています。法務に特化した人材を効率的に募集できるため、適切な候補者を見つけやすいのがメリットです。
ただし、弁護士専門の求人サイトは企業内弁護士を求める多くの企業が求人情報を掲載しています。自社に魅力を感じてもらうためには、業務内容や求めるスキル・経験を具体的に記載し、情報を明確に提供しなければなりません。
人材紹介会社に依頼して、自社と相性がよい弁護士の採用を紹介してもらう方法です。
人材紹介会社は、企業のニーズに合った候補者を迅速に見つけるための専門知識とネットワークを持っています。法務に特化した人材紹介会社を利用すれば、適切な候補者を効率的に見つけることが可能です。
また、人材紹介会社は、候補者のスクリーニングや面接の調整、条件交渉など、採用プロセス全般をサポートしてくれるため、企業にかかる負担を軽減できます。
企業内弁護士に特化した人材紹介会社としては、NO-LIMITやBEET-AGENT、弁護士転職.jpが挙げられます。
企業内弁護士への転職を考える弁護士は増えており、企業の規模や事業内容に関わらず、ニーズを満たせば採用は十分に可能です。
しかし、弁護士を募集・採用しなければならない性質上、一般求人向けの採用方法では応募がこなかったり、自社のニーズに合った人材と出会えなかったりします。
企業内弁護士の採用にあたっては、弁護士専門の求人サイトや人材紹介会社など、さまざま方法があります。
自社に合った採用方法を選ぶことで、自社ニーズに合った優秀な人材の確保が可能です。
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